コーヒーの価格高騰! でもコーヒーの価格ってなに?

coffee

海外のサイトでコーヒーの価値について説明している記事をみつけたので、皆さんにも紹介したいと思います。


引用元:The Price of Coffee is All Over the News, But What Is the Price of Coffee?Daily Coffee News by Roast Magazine

近頃、コーヒーの比較的高い価格が、金融系、一般メディア、業界誌などで大きな話題となっています。

「コーヒーの価格とは何か?」    コーヒーの世界を一人でさまよっている人にとって、「価格」とは近所のカフェでバニララテを買う際のコストを意味するかもしれません。一方で、別の次元では、収穫されたコーヒーチェリーがトラックの荷台に積み込まれる際の価格を指しているかもしれません。

これら2つの極端に異なるコーヒーの価格の間には、「種からカップまで」のコーヒーチェーンにおいて、文字通り数十もの異なる価格決定の瞬間があります。これらは、複数の関係者によって価格が設定され、合意される場面を指します。  

 以下はいくつかの一般的な例

1.収穫後の加工場で農家に支払われる未加工のコーヒーの価格。

2.生産国の政府機関やフェアトレードのような認証スキーム(注1)によって設定される基準価格。※注1:前回の投稿で解説しています

3.各種商品市場での生豆(グリーンコーヒー)のベンチマーク価格。

4.国際コーヒー機関(International Coffee Organization)などの政府間機関によって設定される参照価格。

5.トレーダーと焙煎業者の間で使用される「スポット価格(注2)」やFOB価格(本船渡し価格)などの指標。※注2:当事者間での取引価格

6.12オンス(約340g)のコーヒー豆の袋や12個入りのポッドの小売価格。

これらの価格は、コーヒーが生産者から消費者の手に届くまでの過程で、それぞれ異なる段階で設定されるものです。

しかしながら、理由は定かではないものの(おそらくニューヨーク市が金融取引の門番として歴史的に重要な地位を占めていることが関係しているのでしょう)、プロフェッショナルなコーヒー業界の多くは、「C Price」と呼ばれる単一のベンチマークに依存しています。

物議を醸し、複雑で、広く誤解され、ある程度恣意的であるにもかかわらず、この単一の「C Price」はコーヒー取引に一定の安定性をもたらしています。

この記事執筆時点で、C Priceは史上最高値に達し、1ポンド(約453g))あたり約4米ドルの水準で推移しており、主流メディアで大きな見出しを飾るとともに、さまざまな市場や業界アナリストから熱い意見が飛び交っています。

しかし、これらの議論の中で見過ごされがちなのは、この価格の実態についてです。

この4ドルという数字はどこから来たのか? 誰がこれを決めたのか? そして、なぜコーヒー業界は今でもこれを使い続けているのか?

コーヒーのC Priceとは?  

最も簡単に言えば、C Priceとは、グリーンコーヒー(焙煎前のアラビカ種コーヒー)の価格を示す広く参照されるベンチマークのことです。アラビカ種は歴史的にロブスタ種よりも高品質と見なされてきました。

「C」は「コーヒー(Coffee)」や「コモディティ(Commodity)」の略だと誤解されることが多いですが、実際には「セントラルズ(Centrals)」を意味しています。これは、中央アメリカのコーヒー生産者がブラジル産コーヒーと自分たちのコーヒーを差別化しようとした歴史的な名残です。

技術的に言うと、現在の「C」は、ニューヨークにあるインターコンチネンタル取引所(ICE)で取引されるグリーンコーヒーの先物契約の仕様を指します。ICEは民間企業が運営する金融取引所で、株式取引所のように機能し、コーヒーを含むさまざまなコモディティの先物契約が売買されています。この取引所を通じて、C Priceがベンチマークとして確立されます。

トレーダーがこれらの先物契約に参加する際、彼らはアラビカ種コーヒーの将来の価格を予測して取引を行っています。買い手と売り手は、特定の量のコーヒーを将来の特定の時点で、あらかじめ決められた価格で取引することに合意します。この取引の結果として、コーヒー市場全体に参照価格、つまりC Priceが提供されるのです。

このベンチマークは、コーヒー生産者、トレーダー、焙煎業者、その他の関係者にとって重要な指標となっています。しかし、C Priceはしばしば、生産コストや持続可能性の現実と乖離しているという批判を受けることもあります。

C Priceはこれまでどのように変化してきたのか?  

 コーヒー市場は、他の多くのコモディティ市場と同様に、循環的(サイクル的)な性質を持っています。歴史的なデータを見ると、供給、需要、天候条件、さらには経済全体の要因の変化を反映して、急激な価格上昇と急落の時期が繰り返されていることがわかります。コーヒーやその他の農産物では、価格がブームとバスト(好況と不況)のサイクルを反映しており、高価格がさらなる作付けや生産の増加を促し、それが結果的に価格の低下を招くことがあります。

しかし、1989年までは、コーヒー市場は一連の国際コーヒー協定(ICA: International Coffee Agreements)によって規制されていました。この協定は、供給を管理し、価格の安定を維持することを目的としていました。しかし、ロナルド・レーガン政権の自由市場主義的なイデオロギーや、主要生産国と主要消費国(特にブラジルとアメリカ)の間のイデオロギー的対立により、最終的にアメリカはこの協定から離脱しました。

自由市場時代とC Priceの変動    

1989年以降の自由市場時代は、C Priceに反映されるように、極端な価格変動の時代となりました。

1989年~1994年および2000年~2004年
 1989年のICA(国際コーヒー協定)の崩壊後、価格は劇的に下落。この期間中、市場は2度のコーヒー「価格危機」を経験し、価格が1ポンドあたり1ドル未満で数年間推移。

2010年代初頭
メキシコや中南米全域でコーヒー生産を妨げたコーヒーさび病の影響により、価格が大幅に上昇。

2017年~2020年
生産者にとって再び「危機」となる時期が訪れ、2018年初頭からC Priceが1ドルを下回る状況が続く。

2025年2月
 C Priceが初めて4ドルを超える水準に到達。

変動性におけるファンドと投機の役割

重要な点として、C Priceはコーヒーの実際の取引だけで決まるわけではありません。それどころか、コーヒー豆(生豆や焙煎豆)を一切扱わない市場参加者によって大きく影響を受けています。

ヘッジファンド、大規模な投資会社、個人の投機家などが、市場の見通しやテクニカル分析に基づいてコーヒー先物を売買します。これらの投機的な活動は価格変動を増幅させる可能性があり、時にはC Priceを、従来の供給と需要の基本原則が示す水準以上または以下に押し上げたり押し下げたりすることがあります。

恣意的な指標

C Priceは世界のコーヒー取引において中心的な役割を果たしていますが、それはある意味で恣意的な指標とも言えます。なぜなら、C Priceはリスク回避から短期的な利益追求まで、さまざまな動機を持つ先物取引業者や金融機関によって形成されているからです。

つまり、物理的なコーヒーの供給や需要の変化ではなく、投資家の感情の急激な変化が価格に影響を与えることがあり、生産者や購入者の双方にとって不確実性を生む可能性があります。

2025年には、コーヒー価格、特に「C Price」が引き続き注目を集めることは間違いありません。特に、大規模な消費市場では、トレーダーや焙煎業者が生豆に対してより高い価格を支払う状況が見られるかもしれません。

しかし、重要なのは、C Priceが多くの市場参加者にとってコーヒーという「ゲーム」における人為的なゴールポストであることを忘れないことです。それは人工的な金融商品であり、必ずしもコーヒー農家、焙煎業者、消費者、あるいはコーヒーを単なる数字や矢印以上のものとして大切にする人々が直面している現実を反映しているわけではありません。

最後に

価格は必ずしも実際の供給と需要のバランスだけで決まるわけではなく、ヘッジファンドや投機家などの金融市場の参加者による先物取引が大きな影響を与えているという記事でした。

投資家の感情や短期的な利益追求が価格を大きく動かすことがあり、生産者や購入者にとって不確実性を生む要因となっています。これによって、C Priceは実際のコーヒー生産者や消費者を反映していない「恣意的な指標」として批判されることも。

2025年にはC Priceがさらに注目を集めると予想され、特に消費市場では生豆の価格が上昇する可能性が示唆されています。生豆の価格が上がることで生産者への報酬が増えれば、私としてはいいのですがそう簡単な世界ではないということを学びました。

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